「ものづくり」の企業の一員として、お客様の要望に応えていく
(令和8年1月取材)

1.事業内容
幅広い分野のものづくりを支える鋳造製品
| 弊社は工作機械や建設機械、ポンプ部品、楽器部品などを製造する鋳造所です。1968年に祖父が設立し、父が受け継いだ会社を2026年に私が引き継ぎました。 静岡県内にある鋳造所のほとんどは1tを超えるような大型部品を製造しており、鋳造に用いる砂型を手作業で成型しているところも多くあります。一方、弊社は主に20kg以下の小さなものを得意とし、砂型を機械で作る自動造型機と自動造型ラインを用いて、安定した品質の製品をお届けしています。 創業時は県西部地域の主要産業であるピアノの部品が中心でしたが、次第に幅広い分野の製品を手がけるようになり、今では130社ものお客様と取引をしています。 | ![]() |
2.事業の強み
他ではできない製品を作る対応力
創業以来、弊社ではあえて小物鋳造品をメインとすることで、多くのお客様のニーズを獲得してきました。鋳造品は小さくなるほど作りにくく、製品の価格も個数ではなくキロ単価が通例で、収益が上がりにくいことから小物は敬遠されがちです。しかし、弊社は早くから自動造型機と自動造型ラインを導入し、質の高い製品を安定してスピーディに生産できる体制を整えてきました。また、分野を特定せず幅広いジャンルに対応し、小ロット生産にも柔軟に応じることで多くの仕事をこなし、技術やノウハウを培ってきました。おかげで「小さなものなら山崎鋳造へ」と、信頼をいただけるようになりました。
徹底した品質管理で厳しい基準もクリア
| 近年では、新たに建築関係の分野へも参入しました。建築用の鉄筋などに用いられる400g程度の小さな部品を、月に3万個ほど製造しています。この製品は非常に品質保証の基準が厳しく、より高い精度が求められるのですが、弊社では厳しい生産管理システムを構築し、超音波による傷の検査や組織検査、発光分析など複数の検査機器による品質管理を実施することで、バラつきのない常に安定した鋳造部品を供給しています。 | ![]() |
3.課題と解決のきっかけ ~メインバンクと静岡県信用保証協会との連携~
コロナ禍による受注数減少と利益率の低迷
弊社もコロナ禍により、大打撃を受けました。受注数は半数以下に減り、時には仕事が無い日もありました。さらに、コロナが落ち着いてからも利益率が戻らないという、厳しい状態が続いていました。その大きな要因となっていたのが、どんな材質・形状・製法でも、一律に重さで価格が決められてしまうことです。これまでは父が職人としての豊富な経験と感覚をもとに原価を計算し、数をこなすことでどうにか採算が取れていました。しかし、今では原材料も製造工程も多様化しているために原価計算が難しく、コロナ禍前ほど受注が無いこともあって、利益が上がらなかったのです。そんな時に、島田掛川信用金庫の担当者から信用保証協会を紹介されました。4.静岡県信用保証協会の経営支援内容
自分たちの現状を知り、経営改善の計画を練る
| まずは専門家派遣制度を利用して、中小企業診断士による経営診断を受け、1年をかけて経営改善計画書を作りました。弊社の今の状況や課題を確認して目標を立てるのですが、専門家とヒアリングを通じてお互いに共通の認識を持って、じっくりと進めていきました。専門家は私と同年代の中小企業診断士の傍ら社長業も務める方で、立場も年齢も近いためか、アドバイスがとても的確でした。同一の専門家が支援を続けてくれる点も良かったと思います。 経営についてはわからないことが多く、大変なこともありましたが、弊社に合った経営体制を築くチャンスだと考えて、アクションプランをきちんと実行していこうと努めました。 | ![]() |
既存取引先への価格交渉と新規顧客の開拓に着手
利益率を上げるために、単価アップと新規顧客の開拓に取り組みました。既存先への価格交渉にあたっては、専門家の支援で作成した顧客ごとの取引状況を分析したリストと提案書を持ち、優先順位を決めて訪問しました。そして材料費や人件費、作業時間などから製品1個あたりの原価計算を行って利益の取れる単価を提案書で示し、懸命に交渉して受注単価を上げてもらうことができました。顧客開拓に際しては、同業者から紹介された先や、商談会で知り合った先へと営業に回りました。また、ちょうどその頃リニューアルしたホームページからの問い合わせも役に立ち、そこから現在の建築関係のお客様との取引に繋げることができました。
これを機に始めたお客様への訪問活動も、良い効果を生みました。直接メーカーとやり取りをするようになったことでメーカーの状況を把握できるようになり、在庫や生産量の管理がしやすくなったのです。
5.経営支援のリレー ~次世代自動車センター浜松・メインバンク・静岡県信用保証協会の連携~
現場の改善を図り、大手企業との取引を獲得
島田掛川信用金庫と信用保証協会の勧めで、現場改善も行いました。次世代自動車センター浜松が開催する「現場改善のための5S活動」ワークショップに参加し、同センターからの支援で社内セミナーも行ってもらいました。セミナーでは社員たちとも一緒に現場を確認しながら、材料や工具、在庫の整理整頓についてアドバイスをもらいました。
さらに現場改善に取り組んだことで、大手企業からの経営監査をクリアし、取引を開始してもらうことができました。現在も定期的に行われる取引先からの監査でも、無事合格しています。
さらに現場改善に取り組んだことで、大手企業からの経営監査をクリアし、取引を開始してもらうことができました。現在も定期的に行われる取引先からの監査でも、無事合格しています。
6.伴走支援でのフォロー ~静岡県信用保証協会によるフォローアップとサポートの継続~
改善の実践により、黒字経営への転換に成功
2022年から始めた改善の効果は、徐々に出てきました。2023・2024年に受けたフォローアップ診断では達成状況がよくわかりましたし、毎月、私と父母、中小企業診断士、島田掛川信用金庫と信用保証協会の各担当者で行うミーティングでは、月を追うごとに効果を実感できるようになりました。そして2024年8月、ようやく単月で黒字経営に転換することができたのです。
支援を受けたことで、経営に対する意識が変わった
経営支援のおかげで、毎月試算表を作成して生産量や売上を把握したり、決算ごとにその年の原価計算を行って見積価格に反映したりと、常に現状を分析し、行動に移す習慣がつきました。
専門家からは多くの助言をもらいましたが、特に記憶に残っているのが「経営を改善するには、お客様に価格を上げてもらうか、現状の売上に見合う事業規模にするために人を減らすしかない」という言葉です。厳しい一言でしたが、「従業員を辞めさせないためにも頑張ろう」という励みになったと感じています。
今後は現場の社員たちを巻き込んで生産性の向上を図り、機器を増やして品質検査を全て自社で行える体制を整え、企業としてのブランディングを進めます。景気に左右されない安定した経営で、会社と社員たちを守っていきたいです。
専門家からは多くの助言をもらいましたが、特に記憶に残っているのが「経営を改善するには、お客様に価格を上げてもらうか、現状の売上に見合う事業規模にするために人を減らすしかない」という言葉です。厳しい一言でしたが、「従業員を辞めさせないためにも頑張ろう」という励みになったと感じています。
今後は現場の社員たちを巻き込んで生産性の向上を図り、機器を増やして品質検査を全て自社で行える体制を整え、企業としてのブランディングを進めます。景気に左右されない安定した経営で、会社と社員たちを守っていきたいです。
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信用保証協会のサポート (有限会社山崎鋳造の場合)
- 2022年6月
メインバンクである島田掛川信用金庫の紹介により、当社を訪問し、ヒアリングを実施
当協会による専門家派遣を活用した経営支援の実施を決定 - 2022年7月-10月
信用保証協会の専門家派遣制度を実施し、原価管理の見直しおよび受注減少への対応とともに経営改善計画書の策定を支援(経営改善診断 3時間×5回、経営改善計画策定) - 2023年6月
コロナ融資の返済や、今後の資金需要、設備投資に対応するため、経営改善サポート保証による借換と運転・設備資金を提案、当協会による経営改善サポート会議を経て、同保証を実行 - 2023年11月-12月
- 2024年2月-6月
- 2024年8月-9月
信用保証協会の専門家派遣制度を実施(フォローアップ診断 2回)
- 上記の協会専門家派遣メニューや次世代自動車センター浜松のワークショップとは別に、顧問である中小企業診断士が月1回当社へ訪問する際に、信用保証協会と島田掛川信用金庫が同席している。
信用保証協会 担当者からの一言
| 私は2025年4月から当社の担当となり、それ以降ほぼ毎月社長(現会長)や専務(現社長)と顔を合わせて、色々な議論をしてきました。その中で私が最も素晴らしいと感じたことは、専務(現社長)の前向きな姿勢です。顧問である中小企業診断士の意見を取り入れて臨んだ単価交渉、次世代自動車センター浜松からのアドバイスを受けて実行した在庫置場の整理・整頓など、相当な労力を要すことと思います。それでも専務(現社長)は嫌なそぶりを見せることなく、実行してくれました。その結果が、直近決算(2025年9月期)での利益計上という形で表れています。 これまでは目先の経営改善が急務でしたが、今後は将来を見据えた施策等に着手して、引き続き利益を計上していただきたいです。安定した企業へと成長していけるよう、これからもお手伝いできればと思います。 |
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